プロコフィエフ  交響曲第7番 嬰ハ短調 作品131

 

第2楽章 ヘ長調 3/4拍子

スコアに明示されてはいないが、実質はワルツで、ベルリオーズの〈幻想交響曲〉、ロシアで言うならチャイコフスキーの〈5番〉を受け継いだ形になる。但し、冷静に考えてみると王侯貴族の舞踏会と結びつくワルツという形式は、社会主義体制には最も相容れない舞曲ではある。王子との出逢いと靴のエピソードが頂点となる〈シンデレラ〉では舞踏会のワルツは必須だが、交響曲では無理に入れる必然性は無い。〈1番・古典〉のようにガヴォットでも良かったはずだが、ここでのワルツは革命前のロマノフ王朝時代の華やかな貴族文化へのノスタルジーを感じさせずにはおかない。

冒頭の主題 ④ は特にそうで、緩やかに始まるこの ④ が、より快活な ⑤ 等に牽引されて活気を帯びてゆく。この速まった輪舞が、④ によってテンポ的にも冒頭に回帰するという図式が重要なポイント。

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スコアには何カ所も「加速」の指示があるが、その全てを真っ正直に励行すると、実質的に踊れるワルツとしては速くなり過ぎてしまうため、気付かれないようにテンポを戻すのが重要。⑥ のような「表情豊かに」と書かれた幾つかの主題も効果的なブレーキとして作用する。加速度的に盛り上がってゆくコーダは〈幻想交響曲〉を思わせる。

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第3楽章 変イ長調 3部形式 4/4拍子

チェロによる息の長い主題 ⑦ は非凡なメロディ・ライターとしての資質を証明。この ⑦ に先導される歌謡的な世界は、20世紀中盤に作曲された交響曲としては異例な程のロマンティシズムに溢れている。ファゴットによる ⑧ 等が、新たな登場人物としてテンポを速めるが、トランペット他にも引継がれる ⑦ が開始部の緩やかな世界に引き戻す。

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