曲目解説

演奏会プログラムの曲目解説からの抜粋です。

チャイコフスキー 交響曲第3番 ニ長調

tchaikovsky チャイコフスキーの交響曲第3番は、4番以降の交響曲作品と比較して演奏頻度は少なく、千葉フィルでも4番以降をいずれも再演しているのに対し、3番はこれが初だ。とはいえ、チャイコフスキーの多くの傑作が生みだされた時期と重なり、音楽的魅力が詰まっている。ただ、詰まっているというよりあふれている、あるいは若干とっ散らかっているともいえる感じがあるのも事実で、後年のドラマチックな構造物を期待すると面食らう。

続きを読む

リムスキー=コルサコフ 序曲〈ロシアの復活祭〉

rimsky corsakov本作品は、リムスキー=コルサコフの絶頂期と言える1888年に作曲された。この時期、代表作である〈スペイン奇想曲〉や〈シェヘラザード〉を相次いで作曲しており、この作品はこうした管弦楽作品のひとつのピリオドとなる。というのは、そのあとワグナーの楽劇に出会い、オペラへと没頭することになるからだ。そうしたピリオド的作品であると言っても、その内容はロシア正教の讃美歌をベースとしたある意味素朴で、異教的な祝祭気分に満ちた親しみやすい序曲だ。

続きを読む

金子建志氏の第10回記念演奏会に寄せたマーラー 交響曲第9番解説

本稿は、1995年1月開催の千葉フィルハーモニー管弦楽団「第10回記念演奏会」のプログラムに掲載された曲目解説です。

mahler thumb 240px〈9番〉は決して取っ付き易い曲ではないが、〈7番〉や〈8番〉みたいな形で聴き手を当惑させることはないような気がする。筆者が〈9番〉を初めて聴いたのは70年のバーンスタイン=ニューヨークフィルの実演だが、その時点でマーラーに対する知識はお話にならないほど乏しかったにもかかわらず「別れ」と「死」を表現しようとした曲だということは理解できた。別れの気分に始まり、壮絶な戦いを経て、諦めの中に死を容認する―というのが全体の筋道なのだが、その中になんと多くの要素が詰まっていることか。

続きを読む

マーラー 交響曲第9番 ニ長調

mahler 1909 320px令和のマーラー

マーラーをめぐるトピックで、最新の事柄といえばブライトコプフ社が新校訂によるスコアの出版を開始した、ということであろうか。つい先日、ブライトコプフ社の代表が、今年になって出版された交響曲第5番について語るという機会があって出かけて行ったのだが、その内容は驚くべきものであった。

続きを読む

ラヴェル  管弦楽のための舞踏詩《ラ・ヴァルス》

ravel 1923 360pxお蔵入りとなったディアギレフとの共同作業

ラヴェルがバレエ・リュスを主催するディアギレフの依頼に応じて作った作品だが、ディアギレフは気に入らず、バレエ・リュスでの上演はお蔵入り。そこで、ラヴェルは独立したオーケストラ曲として発表する。初演は1920年の秋のこと。すでに第一次世界大戦は終結し志願兵として従軍していたラヴェルの兵役もすでに終了していた。

続きを読む

関連記事