本作品は、リムスキー=コルサコフの絶頂期と言える1888年に作曲された。この時期、代表作である〈スペイン奇想曲〉や〈シェヘラザード〉を相次いで作曲しており、この作品はこうした管弦楽作品のひとつのピリオドとなる。というのは、そのあとワグナーの楽劇に出会い、オペラへと没頭することになるからだ。そうしたピリオド的作品であると言っても、その内容はロシア正教の讃美歌をベースとしたある意味素朴で、異教的な祝祭気分に満ちた親しみやすい序曲だ。
冒頭は5/2拍子。木管楽器のユニゾン①が、素朴な教会音楽的雰囲気を作る。弦楽器が受け継いだのち、ソロヴァイオリンが、絵本のような朝を奏でる。チェロと木管楽器の穏やかな掛け合いのあと、再び讃美歌。Allegroの主部は、讃美歌主題が変則的なアクセントによって変拍子風に展開される。

一旦落ち着くと、特徴あるリズム主題②が弦楽器のピッチカートとともに奏でられる。このパターンは何度も登場するが、そのたびに音楽がリセットされ、次の盛り上がりの起点となっている。

最後も、この音型から発展して讃美歌主題が壮大に重なり合い、祝祭を盛り上げて終わる。