ラフマニノフ 交響曲第1番の楽曲解説

Ⅱ楽章 へ長調 3/4 (9/8) ロンド形式

メンデルスゾーンやベルリオーズの妖精の飛翔を模したスケルツォ。①b が、物語の進展を告げ、第1ヴァイオリンが第2のイデー・フィクス ①d で主役を担う。進出主題としてはホルンによる警告的な ⑥a と、それを低弦が執拗に繰り返す ⑥b が重要。

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低弦のピチカートによって導かれる中間部ではテンポが弛み、ヴィオラ群によるパート・ソロ⑦と、コンサートマスターによるソロ ⑧ が、パントマイム的な見せ場を作る。

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Ⅲ楽章 変ロ長調 3/4 三部形式

イデー・フィクスの変容 ①e が、緩徐楽章の開始を告げる。この甘美なラルゲットの主役は木管で、クラリネットによる ⑨ が第1主題。懇願するような第2主題 ⑩a はオーボエ→フルートに。これに第2ヴァイオリンの ⑪ が、不規則にまとわりつく。

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中間部はホルン他によるシンコペーション ⑫ が陰りをもたらす。交響詩〈死の島〉を予告するかのような不吉な暗部を経て、クラリネットが ⑪ で再現部を導く。

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再現部は弦と木管を中心にした長大な愛の場面。①eと既出主題による大河のようなカンタービレには、息の長い旋律線を得意とするラフマニノフの個性が、既に開花している。

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