レスピーギ 交響的印象〈教会のステンドグラス〉

respighi 128pxレスピーギに教会旋法を使用した曲が多いのは、妻のエルザがグレゴリオ聖歌の研究者だったことが大きい。〈古代舞曲とアリア〉や〈ローマ3部作〉だけではなく、〈グレゴリアン・コンチェルト〉と題したヴァイオリン協奏曲も書いているが、この〈教会のステンドグラス〉も、そうした作品の一つだ。

エルザと結婚した直後の1919年(40歳)には、ピアノ独奏曲〈グレゴリオ聖歌による3つの前奏曲〉を作曲している。これを25年にオーケストレーションする際、終曲を新たに書き加えて全4楽章の〈教会のステンドグラス〉とした。その際、第1曲のコーダを延長したり、第2曲に導入部やコーダを加える等の改訂も成された。C. グァスタッラと共同で作成された曲ごとの標題と、内容を表わす解題も、内容と具体的に結びついている。

I. エジプトへの逃避

「小さなキャラバンが星降る夜に砂漠を渡っていく。世界の宝を乗せて」

5/4拍子。クラリネットによる歌謡的な主題①aをリズム的な①bが支える。チェロによる②は長大で、砂漠のイメージに結びつく。

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クラによる即興演奏的な③は、後にフルートでも再現される。これらはヴァイオリンを中心とした頂点④とともに、フリギア旋法。一貫した5拍子も非西欧的で、〈展覧会の絵〉に近い手法だ(レスピーギはロシアで学んでいる)。

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